B-1 野菜に求める栄養
「野菜に求める栄養」というテーマは、色々な機関やジャンルで取り扱われていますが、ここではセクションAに続き農林水産省発信の情報を元に調査を進めたいと考えました。
見つけた情報が、厚生労働省と農林水産省の共同により平成17年6月に策定された「食事バランスガイド」です。ガイドには、野菜を「主にビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源とする」と記載されていました。
ところが、一言「ビタミン」といってもビタミンCに始まりβーカロテンだったり、ビオチン・・・と細分化されています。そこで、見るべき栄養素を絞り込むため、「食事バランスガイド」に関する資料の読み込みを進めます。すると、食事バランスガイドの報告書>参考資料に主な料理・食品の「つ(SV)」サイズ及び栄養素構成とあり、次の栄養素がピックアップされていました。エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、カリウム、カルシウム、鉄、レチノール当量、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、コレステロール、食物繊維総量、食塩相当量。
上述のピックアップ栄養素から、「食事バランスガイド」において野菜に求めている栄養素は次です。食物繊維相当量、カリウム、レチノール当量、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC。つまり、この6つの栄養素を全14品目に対して確認していけばOKということです。
B-2 各野菜の栄養素
前述14品目の栄養をインターネットで検索すると、一般企業のオウンドメディアに多くたどり着きます。そちらで公開している情報の出典元とされていたのが、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)(文部科学省)」(以降、「食品成分表」)です。
食品成分表からB-1で定めた栄養情報を収集していきますが、前述14品目の「ばれいしょ」と「さといも」は、食品成分表にて「野菜類」とは区別して「いも及びでん粉類」と分類されていたため、この調査からは除外します。よって14品目から12品目へと対象数が減少しました。
個々の栄養情報をデータ化出来たら、「どの野菜(品目)を優先的に食することが、栄養面で効率的な摂取となるか」という考え方でデータ分析を進めます。
下図は12品目全ての野菜を同量食した際に摂取できる栄養を100%とした場合に、品目別の構成(%)を示したものです。
栄養素毎に単位が異なっているため、横並びに比較ができないことから考えました。

図3.から気づいたこと:
- 年間平均卸売価格が最高値をマークした「ほうれんそう」が上位を占める頻度が高い
- 一方で、安価な「にんじん」と「キャベツ」も健闘している
- 図3.のままでは、どの野菜を優先摂取すればいいのかまだ可視化しきれていない
レチノール相当量は、ビタミン A の食事摂取基準の数値です。
分析あるあるですが、入手できた情報が細かければ細かいほど「木を見て森を見ず」状態に陥ってしまます。作業自体は楽しいのですが、ここで全体へと視点を戻したいと思います。

図4.から気づいたこと:
- 「ほうれんそう」が強い
- 上位3つ「ほうれんそう」「にんじん」「ピーマン」の合計占有率は50.3%で、全体の半分を占める
野菜の摂取優先順位ができました。続いて気になるのは、どの程度摂取すれば野菜に求めている栄養が満たされるのか、です。そこで、国が定める目標摂取量を目安として考えていきます。
色々調べると、計算式が非常に複雑であることが分かりました。
- 摂取栄養量(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)の逆算でいくと、とんでもなく膨大な量の野菜を食することになる。
また、肉や乳製品などの野菜以外の食事から摂取できる栄養の数値の扱いに悩む。 - 「相対生体利用率」という概念があり、食したもの全てが栄養として体内に摂取されるわけではない。
この「相対生体利用率」は、栄養素によって数値が異なる。 - 一方で、日本人が一日に摂取する野菜の量は、
目標値が420g(「食事バランスガイド(前述)」、副菜(野菜料理)は@70g✕6つを目標とする)
に対して、
実際は280.5g(農林水産省「第四次食育推進基本計画」、令和元年度の平均値)
つまり、頑張っても一日280.5gの野菜摂取が現実解ということになる。
以上から、野菜の摂取優先順位を反映しつつ、一日280.5g摂取を目標にどう組み合わせると摂取できる栄養が最大化するのかを考えていきます。
今回は全12品目から摂取できる栄養量の半分を占める3品目の組み合わせを具体的に検討しました。

図5.から気づいたこと:
- 「ほうれんそう」がエースである
- 後続品目を加えても栄養摂取バランスが大きく改善するわけではない
- 「カリウム」と「ビタミンB2」はほうれんそうの摂取量を100%から34%に縮小すると半減する
